バレルエイジ特集 樽熟成クラフトビールが新世界を切り開く!!

【特別対談】樽熟成ビールの現状と未来

  • 藤原ヒロユキ氏 プロフィール
  • 吉村宗之氏 プロフィール

 

『ビール全体に対して、バレルエイジビールはどういった位置づけになるのか?』
藤原ヒロユキ 元々ビールというものは、ウッドバレルで熟成していたのですが、ある一時期からステンレスタンクになりました。しかしそういった歴史的な事に回帰しようという動きが、10~15年頃前から、アメリカのクラフトビールで少しずつ始まり、当時のコンペティションでもバレルエイジビールというカテゴリがあるくらい、現在でも一般的になってきていると思います。 基本的にはハイアルコールのビールが現状です。

『という事は、世界的にバレルエイジビールが普及している?』
藤原ヒロユキ そうです。最近では日本でも製造しているところがあります。ただ中々ウッドバレルが手に入らなく、日本ではまだまだ一般的なビールではない。

『ウイスキーの熟成における樽の重要性は?』
吉村宗之 重要性は大きく、ウイスキーの製造工程の中で熟成は、風味の7割~8割を占めるともいわれています。主だった樽はバーボン樽とシェリー樽ですが、バーボン樽で寝かしたウイスキーはオーキーでバニリーな甘い香りが出やすいですね、一方シェリー樽だと、ワインの様なやや渋くドライなニュアンスがつきます。

『テイスティングしたビールはシェリー樽で寝かしているので、どちらかというとドライに出ている?』
吉村宗之 そうですね。甘みもありますが、シェリー樽熟成特有の心地いいドライな風味があらわれています。

『このビールで使用している樽の蒸留所がアランという蒸留所ですが・・・』
吉村宗之 比較的新しい蒸留所ですが、非常にバランスの取れた、まろやかなウイスキーを造っています。

『ウイスキーから見た熟成ビールはどの様に写るのか?』
精霊が棲むと言われる洞窟で、アラン蒸留所の樽にビールを詰めているグスヴェルク醸造長藤原ヒロユキ これまではウイスキーの空き樽はウイスキーにというのが一般的でありましたが、それをビールなどで再利用するというのは面白いと思います。
逆にビールの樽で寝かしたウイスキーというのもあるので、お互い様という事で(笑)。
現状、日本でもやっていますからね。
ウイスキーの樽でビールを造り、その空いた樽でウイスキーを造っています。

吉村宗之 ビールとウイスキーのコラボレーションは、とても興味深いですよね。

『今後バレルエイジビールの位置づけが、どの様に変化していくののか?』
藤原ヒロユキ 今までの概念・ビール観というのがどうしても、のどの渇きをうるおす、夏場に冷やしたビールを飲むというイメージや、食前酒、軽い料理にあわせるといった発想だったんですが、ここ数年、日本の消費者もクラフトビール、それだけではなくて味わうビール、香りを楽しむビールというものを知ってしまったという歴史があり、その影響を受けて大手メーカーもクラフトと名がつくものを造りはじめている動きを見ると、いつまでも、のどの渇きをうるおす、だけのビールでは無くなっていくと思います。
そうなると味わい・香りがしっかりしているもの、アルコール度数が高いものなどに興味がいき、さらに色々な料理にあわせることが出来る為、フルコースが楽しみやすくなる、そういった方向に変化していく時代だと思います。

『都内ではウイスキーとビールを同時に楽しめるという店舗が増えてきましたが・・・?』
藤原ヒロユキ そうですね。このロイヤルスコッツマンもそうですが、この間行われてた長野県のウイスキーアンドビアキャンプなどで、ウイスキーとビールを一緒に扱うことがあります。
まぁ、ウイスキーとビールは兄弟ですから(笑)。

吉村宗之 そうですね。たしかに兄弟のような関係です。

『個人的にはウイスキーとビールの関係性が強まると面白いと思っていますが・・・・?』
吉村宗之 ええ、こういった面白い試みは、今後増えていくでしょうね。ただ一方では、頑なに伝統的な造り方にこだわる方もいるでしょう。ビールづくりの傾向は、二極化していくような気もしています。

『今日本でもクラフトビールが人気であり、特にIPAの人気が高いということですが、今後はバレルエイジのビールが流行るのでは?』
藤原ヒロユキ 日本のクラフトでも、よなよなで有名なヤッホーブルーイングが、複雑な味と香りを作り出したシリーズを色々なバレルを使用して出しています。アメリカのクラフトビールはどんどんディスティラリーを造っていて、ブリューイングから蒸留という風に進んでいますので、それを考えますとどんどん融合していく、樽熟成ビールが増えていく、という風に考えています。

『バレルエイジは今後期待できる?』
藤原ヒロユキ 私自身も大好きですし、オーク・シェリー・スコッチなどの樽で色々なバリエーションが楽しめますしね。

吉村宗之 風味のレンジが増えると、消費者の選択肢が増えますからね。とてもいいことだと思います。

藤原ヒロユキ 同じ原酒・ビールによっても樽によってどう変化していくか? というのも楽しめますからね。
それは造り手もそうですけど消費者も楽しいと思います。
飲み比べとかも出来ますからね。

『ウイスキーは同じ樽で寝かせても、寝かせた年数によって風味が違うと思いますが・・・・?』
吉村宗之 その通りです。同じ年数でも、樽ごとで違ったりもします。

藤原ヒロユキ ウイスキーもそうなんですが、ビールもブレンドをしていくということも有りだと思います。実際に行っていますし、例えばバーボン樽熟成のビールと、シェリー樽熟成のビールをブレンドするということも考えられますから。

『熟成したビールも寝かせた年数によって風味が違うので楽しめる』
吉村宗之 おっしゃるとおりです。可能性は無限ですね(笑)。

 

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