スプリングバンク8年 ペアシェイプ

思い出のボトル

<第三回>

スプリングバンク8年
ペアシェイプ

中村 信之

 

CAMPBELLTOUN LOCH( キャンベルタウン・ロッホ)
東京都千代田区有楽町1-6-8 松井ビルB1F
☎ 03-3501-5305
営業時間:18:00~02:00(金18:00~05:00、土・日・祝17:00~23:30)/無休
CAMPBELLTOUN LOCH facebookページ

 

思い出のボトル03

絵:佐藤英行 文と写真:いしかわあさこ




 有楽町駅・日比谷口を降りて線路沿いに歩いていくと、下へ伸びる狭い階段に「CAMPBELLTOUN LOCH」の文字がある。降りた先にある引き戸の向こうは、モルト好きに抑えられない高揚感を与えるはずだ。バックバーに収まりきらず、カウンターまで占拠したボトルは何気なく置かれているが、レアなものも数知れず。まるで穴蔵で宝の山を見つけたような気分になる。
 店名はやはりウイスキー※から名付けられたのかと思いきや、スコットランドの民謡から。「歌詞に惹かれて、というわけでもないんです。なんとなく語呂がよくて。でも、せっかくですから」と店主の中村信之さんがスプリングバンク8年をカウンターに置いた。店をオープンした1999年頃に、各地の酒屋で見つけてきたボトルのうちの1本。ウイスキー特級の文字があり、1980年代前半のものと思われる。
 スプリングバンク蒸留所はスコットランド西部のキンタイア半島にある町、キャンベルタウンに位置し、その塩味が特徴的だといわれている。その中でも古いボトルは華やかで濃く、派手な印象のものが多いが、このボトルに中村さんが惹かれたのはその素朴さ。「飲み進めるうちに美味しくなるんです。そして気がつくと好きになっている。そんなボトルです」
 穴蔵にはボトル以外にも気になるアイテムがある。見るからに座りづらそうな椅子だ。中村さんが友人につくってもらったもので、「簡単にかけられるものでいい」と伝えたところ、このような形になった。足元にはカエルを模したオブジェ。座りづらいから立って飲むという人もいるが、それでも長居してしまうほど魅力的な穴蔵だ。


※スプリングバンク蒸留所の生産責任者、フランク・マッカーディ氏が選び抜いた原酒でつくるブレンデッド・ウイスキー「キャンベルタウンロッホ」のこと。

 

 

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