ビーフィーター クラウンジュエル

思い出のボトル

<第十二回>

アイル・オブ・ジュラ
クエルクス2周年記念ボトル

渡邊 篤史

 

Quercus Bar
東京都豊島区東池袋1-32-5 大熊ビルB1F
☎ 03-3986-8025
営業時間:18:00~02:00(金・土~04:00)/無休

 

思い出のボトル10

絵:佐藤英行 文と写真:いしかわあさこ




 ヴァイキングの言葉で「鹿の島」を意味するスコットランド・ジュラ島には、野生の鹿が4~5千頭も棲息している。人口は200人ほどだから、鹿に出会う確率のほうが高い。島民は鹿から農地や植林を守るため、設置されたフェンスの内側で生活しているくらいだ。2002年、渡邊篤史さんはアイラ島のポートアスケイグ港から小さなフェリーに乗り、クレイグハウス村にあるジュラ蒸留所を目指した。
 「蒸留所の近くにある『ジュラホテル』に宿泊しましたが、テレビもつかないし、シャワーも出なくて最初は戸惑いました。地元の人が集まるパブで飲んだり、名物の鹿肉ハンバーガーを食べたりして楽しかったですね」
 蒸留所へ行くと、自分で樽を選びボトリングすることになった。ラベルの左上に大きく描かれた鹿が、ジュラ島を思わせる。ウイスキー業界の重鎮マシュー・D・フォレスト氏に勧められ、その右側に前年オープンした店のロゴを加えて2周年記念ボトルにした。”Quercus(クエルクス)”は、樽の材料になる主な木材Oak(オーク)の学名。店の入り口から樽が迎え、自家製スコッチハギスなどのスコットランド料理が人気だ。
 「58.8%のカスクストレングスなのでパンチが強く、若さを感じるウイスキーですね。ストレートがお勧めですが、加水するとより甘さが広がります。実は、1周年の時もジュラが記念ボトルでした」
 毎年10月に向けて周年記念ボトルを詰め、既に14本のオリジナルがあるが、最初の2年を連続で務めたジュラとフォレスト氏との思い出は深い。また今年も新たな1本が、カウンター左右のキープボトル棚に現れる。

 

 

このセクションには商品が登録されていません