アードベッグ ウーガダール

思い出のボトル

<第八回>

アードベッグ
ウーガダール

片野 靖雄

 

カサブランカ 片野酒類販売
神奈川県横浜市中区太田町2-31-3 コーポサンライフ太田町203
☎ 045-228-7377
営業時間:18:00~05:00(日・祝~ 03:00)/無休
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思い出のボトル08

絵:佐藤英行 文と写真:いしかわあさこ




 海を思わせるヨード香と、スモーキー フレーバー、フルーティでスイート……。アードベッグといえば、そんなテイスティングノートが思い浮かぶ。しかし、仕込水として使われる湖の名前が由来の「ウーガダール」は、しっかりとしたボディの中に柔らかさがある。発売直後、セミナーで初めてそれを口にした片野靖雄さんは、それまでに感じていたアードベッグの強烈な味わいとは異なる衝撃を受けた。関内のバー「カサブランカ」に入店してまもない頃だった。
 初期ロットは1991年、1993年蒸留のバーボン樽で熟成した原酒と、1976年、1977年蒸留のシェリーカスクで熟成した原酒をヴァッティングしている。蒸留所は1980年代に操業を停止していたため、その前後に蒸留されたものというわけだ。
 アードベッグ独特の個性と自然な甘さは、蒸留釜に取り付けられたピュアリファイアー(精留器)によるものと言われるが、原酒の組み合わせも素晴らしかった。その絶妙なバランスに魅了されながらも、自身が’76年生まれなことから親しみも感じた。
 2010年6月、独立して開いた店のバックバーに、ウーガダールを置いた。中身は初期ロットの配合から変わっているが、それ以来ほとんど切らさずにいる。最近では、アリゲーターやアードボッグ(※)などもお勧めだ。
 ただ、これまでアードベッグ蒸留所を訪れる機会に恵まれていない。かつてスペイサイドやキャンベルタウンを訪れたとき、現地に行く意味を感じた。原酒、製造、いろいろ直接聞きたいことがある。今年こそはアイラ島に、と思っている。


※ アリゲーターは、樽の内側を最も強く焦がす「アリゲーター・チャー」を施した新樽で熟成させた原酒を一部使用したもの。アードボッグは、ピートが採掘される湿地(Peatbog) に由来し、バーボン・カスクとマンサニージャ・シェリー・カスクでそれぞれ10年熟成した原酒をヴァッティングしたもの。

 

 

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