サントリーオールド

思い出のボトル

<第十五回>

サントリーオールド
 

宮崎 優子

 

BAR Tenderly
東京都大田区大森北1-33-11 大森北パークビル2F
☎ 03-3298-2155
営業時間:17:00 ~ 01:00(金~ 02:00、祝~ 00:00 /土日のみ11:00 ~ 17:00 はブランチバー)
日曜、振替休日となる月曜休み

 

思い出のボトル

絵:佐藤英行 文と写真:いしかわあさこ




 ダルマの愛称で親しまれるサントリーウイスキー「オールド」が産声をあげたのは、1940年11月だった。戦災を免れ、発売されたのが1950 年。山崎蒸溜所で10年間眠っていたウイスキーは、出世してから飲む高級酒と言われ、主に贈答品としての需要が高かったという。
 しかし高度経済成長期に入り、1970年の新聞広告「十年まえは熱燗で一杯やったものですが…… 一日のピリオド。黒丸。」や、テーマ曲「夜がくる」などで飲み手の心を掴み、水割りの普及と共に販売数を急激に伸ばしていった。宮崎優子さんが忙しい母親に代わって水割りを作っていたのもその頃だ。
「父が町工場を営んでいたので、若い従業員たちと一緒に食卓を囲んでいました。オールドが各家庭に置いてあるような時代で、水割り全盛期でしたね。早くに父を亡くしたので、成人してから一緒に飲むことは叶いませんでしたが……」
 やがて自身の長男が成人し、ハイボールブームが訪れる。2009年、長く低迷していたウイスキーが、サントリーのハイボール復 活プロジェクトにより再び脚光を浴び始めたのだ。
「普段は飲まない息子が、オールドを買ってきてハイボールで飲んでいたのを見かけて。たまたま休みの日が重なっていたので一緒に飲み始めたら、一晩で空けてしまいました」
 父親が飲んでいた、オールドの水割り。あの黒く丸いボトルが、こんなに美味しかったなんて。時をこえて、それに気付かせてくれたのは我が子だった。三代を繋いだ、ダルマ。以来、店のバックバーに登場するようになったオールドは、宮崎さんから客人へと伝えられている。

 

 

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